3章 自社サーバ
3.1 自社サーバの目的
・カスタマイズ
サーバ構成のカスタマイズはもちろん、WEBサーバを複数台立てたり、ストリーミングサーバを立てたり、ネットワークを自由に構成できる。
・レンタルサーバとの比較
膨大なユーザのアクセス数が見込まれる場合や、多数のユーザにストリーミング配信を行いたい場合は、レンタルサーバでは限界があるため、自社サーバの方がよい。レンタルサーバでも、サーバの台数を増やせば不可能ではないが、費用が逆に高額になってしまう。
3.2 自社サーバの利点
・アクセス数
ユーザのアクセス数が、例えば、1日10万件といった膨大なアクセス数が見込まれる場合、WEBサーバ1台の場合、負担が重くなり、良いパフォーマンスでサービスが提供できなくなってしまうので、WEBサーバを複数台にするなどの対処が必要。
・データベース
膨大な量のデータを扱うことが見込まれる場合、データベースマシンを独立させた方が安全なので、WEBサーバとデータベースサーバを分ける。これは、データベースの容量過度により、WEBサーバのハードディスク圧迫を避けるのと同時に、セキュリティ面も安全にすることができる。
・ストリーミング配信
映像や音声を配信する場合、WEBサーバにファイルを置いてリンクするだけだと、同時アクセスユーザ数は少数に限られてしまうが、ストリーミング配信サーバマシンを別途用意すれば、サーバへの負担も軽減できるし、同時アクセス数も増やすことができる。ただし、Real ServerやWindows Media Server、Flash Communication Serverのライセンスを買う必要があり、同時アクセス可能数によって価格が変わる。
3.3 インフラ
・ネットワーク構成
自社サーバなので、WEBサーバやHUB、ファイアーウォールなどのネットワーク構成は自分で考えなければならない。
・サーバ台数
見込みアクセス数によって、WEBサーバ台数を決める。また、データベースサーバを独立させるか、ファイルサーバを独立させるかなどを考慮する。
・ネットワーク経路
インターネットからファイアーウォールをつなぎ、ファイアーウォールからルータ、HUB、WEBサーバマシンをつなぎ、WEBサーバからデータベースサーバをつなぐなど、ネットワークの経路を考慮する。
・セッション管理
WEBサーバを複数台にした場合、セッションをどう管理するかが問題となる。ロードバランサーによっては、そのままでは同一ユーザアクセス中に、別のWEBサーバに切り替わり、セッションが切れることが発生する。解決策としては、クッキーやデータベースサーバに一時データを保存し、1アクセス毎に確認する方法がある。
・ハウジング
自社でマシンを用意するが、インターネットにつなぐために、マシンをプロバイダ業者に持ち込んで、運用すること。
3.4 セキュリティ
・ファイアーウォール
インターネットからWEBサーバやデータベースを守るために、ファイアーウォールを設置し、第三者の攻撃を遮断する。
・Secure Socket Layer(SSL)
WEBサーバにベリサイン社などのSSLモジュールをインストールする。
・アクセス制限
WEBサーバやデータベースサーバなどにアクセス制限をかける。
3.5 運用
・サーバ管理
サーバは24時間稼動状態にしなければならないので、夜中にサーバがダウンしても対応できる体制が必要。通常は、サーバをデータサンターに置き、そこのサポートを受けるやり方が一般的。自社に置いてある場合は、交代制で管理するのが望ましい。また、サーバアプリケーション機能によっては、障害発生時に、自動で通知するものもある。
・データベース
データベースのハードディスクがクラッシュする可能性を考慮し、定期的なバックアップを行った方がよい。DATやMOなどに手動または自動でバックアップしたり、バックアップサーバに保管する方法がある。
・アプリケーション
リリース後にアプリケーションにバグがあった場合は、通常無償で修正する。しかし、仕様変更や機能追加は、契約形態によって対応が異なる。定期的に変更が発生する場合は、月額固定費用でサポートしたり、変更の都度見積りを提出する場合もある。
・ログの管理
サーバログやアプリケーションログを出力し続けた場合に、ハードディスクが圧迫される恐れがあるので、定期的に自動、または手動による削除が必要となる。
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